近年、アウトドアの場で人気の「角型飯ごう」であるところの「メスティン」。
そのメスティンで「ビーフン」を作るテクニックを紹介したい。
目次
アウトドアの麺料理と言えばパスタ
それよりも便利な「米の麺」
近年、アウトトドアの場では角型の飯ごう「メスティン」が人気である。メスティンを利用してのレシピbookも続々と出版されている。メスティンで炊飯、メスティンでスモーク、メスティンでスイーツ…
でも手っ取り早く腹が膨れるアウトドア料理と言えば、やっぱり麺料理。それもインスタントラーメンや水漬けパスタではなく、お米の麺・ビーフンを紹介してみたい。
中国南部で生まれた米の細麺
それが「ビーフン」
ビーフン。中国の南部や台湾名産の、お米から作られた麺だ。
米を水に漬けてからすり潰し、ドロドロのペースト状にする。
その生地に多少の熱を加えて粘りを出させた上で押し出し機にかけ、細長く加工していく。
写真の通り、ビーフンの漢字表記は「米粉」。北京語で発音すればミーフェンだが、中国南部の福建、あるいは台湾の言葉ではビーフン。日本には台湾から伝わったのでビーフンと呼ばれる。もちろん英語で牛肉を指すbeefとは何の関係もない。
なお「麺」という言葉、漢字は、日本では「小麦粉、そば粉、米粉など穀物、デンプン質の粉末を細長く加工した、主食用の食品」を指すのはご存じの通り。
だが本来の中国語では、字の左側の「麦篇」が示す通り、「麺」の字は「小麦粉製品全般」を指す。細くても、細くなくとも関係ない。実際にパンは「麺包」と書く。
一方でそば粉や米粉など麦以外の穀物から作られた食品は、細長い形でも「麺」の範疇には入らない。だから中国でのビーフンはあくまで「米粉」であり、「麺」ではない。
現地で「ビーフンは米の麺」などと話せば妙な顔をされるので注意したい。
大量の湯も強い火力もいらない
それがビーフンの魅力
さて、アウトドアでのビーフンの利点
・軽い
・すぐに戻る
一般的なパスタは茹で時間10分。早ゆでパスタでも3分。しかもある程度の茹で水が必要。水と燃料が貴重な登山などで、このロスは痛い。だがビーフンは湯をサッと通すだけで簡単に戻るのがうれしい。原料がお米だから、様々な食品との相性もよろしい。
一方の欠点と言えば、「かさばる」こと。もっとも「麺は長くなければならない!」という考えを捨てて、細かく折れば一気にコンパクト化できる。その上で、ファスナー付き袋などに移して携帯するのもいいだろう。
メスティンで作る
「焼きビーフン」
メスティン
持ち手に断熱用の樹脂加工が施されているので、火力が安定したバーナーor固形燃料向けの調理器具だ。うっかり焚き火で加熱すれば、樹脂の握り手が焼け切れないとも限らない。
なので、今回は固形燃料を仕掛けた上での加熱方式。もちろんバーナーでも差し支えない。
材料
ビーフン 好きな具材 オイスターソース 醤油 水 油
作り方
まず野菜をはじめ具材は、火が通りやすく食べやすい大きさに刻む。
ビーフンの形状に合わせ、細長く刻むのがよい
ストーブに固形燃料をしかけて点火し、メスティンを掛ける。
温まり始めたら、小さじ1杯ほどの油を引く。
油が温まったら、具材を入れて油に馴染ませる。
もっともメスティンの形状で本格的な炒め調理は難しいので、油がなじむ程度でよろしい。
その上で水を注ぎ、蓋をして軽く蒸す。
蒸されかけた野菜の上にビーフンを置く。
この量で100gほど。
ご覧のようにビーフンの麺はかさばる。
なので、「麺は長くなければいけない!」というこだわりは捨て、あらかじめ短く折っておくのもおすすめ。
さらに水を注ぐ。量はメスティンの底から1センチほど。
その状態で蓋をして熱し続ける。
蒸気の熱を受けて、野菜の量が徐々に減り始める。
野菜と麺の位置を入れ替えて「麺が下の状態」になるようにする。もちろん、火の具合と水の量には注意。蓋を閉めて蒸しあげられる状態にする。
やがて野菜に十分に火が通り、麺も水分で充分に柔らかくなる
オイスターソース少々でコクをつけ、醤油で味を整えれば出来上がり。
時間と燃料に余裕があれば、蓋を開けたまま熱し続けて余計な水分を飛ばし、「焼きビーフン」らしくしよう!
少ない燃料と水で簡単に戻る麺類・ビーフン。
今回は味付けなしのビーフンを用いたが、味付け調理のうえ一食分にまとめられた
「ケンミンの焼きビーフン」
こちらを使わない手もない!
本文、写真:角田陽一